今回は綿矢りささんのデビュー作『インストール』について、基本情報や受賞歴、映画化の情報に加え、この本との出会いや実際に読んでみての感想もネタバレなしで書いています。
長くなりますが、何かの参考になれば幸いです。
この本について
基本情報
| 書名 | インストール |
| 著者 | 綿矢りさ |
| 出版社 | 河出書房新社(河出文庫) |
| 刊行の経緯 | 単行本 2001年11月刊 → 文庫版 2005年10月刊(今回ご紹介するのはこちら) |
| 定価 | 現行の文庫版は600円+税(購入した第14刷時は380円+税) |
| 判型・ページ数 | 文庫判・192ページ |
| 購入店舗 | ブックオフ |
| 購入価格 | 110円(税込) |
| 状態 | 目立った汚れや日焼けなどなく綺麗な状態、帯なし |
| 版 | 第14刷(2005年11月18日) |
本作は綿矢りささんのデビュー作で、当時17歳の高校生だったということもあり、メディア等でもかなり話題になっていました。(高校2年生の冬休みを使って一気に書き上げたそうです)
2001年11月に発売された単行本は発行部数60万部を突破しており、その後2005年10月には文庫化され、こちらも発行部数30万部を突破しています。
私が購入したのは第14刷(2005年11月18日発行)ですが、これは文庫化からわずか1ヶ月半ほどで刷られたものです。文庫化直後から版を重ねていたことからも、当時の人気の高さがうかがえます。

受賞・評価
単行本は2001年の第38回文藝賞を受賞しています。また、2002年の第15回三島由紀夫賞の選評でも本作が取り上げられ、選考委員の一人だった文芸評論家・福田和也氏は、同じくインターネットを題材にした阿部和重氏の『ニッポニアニッポン』と比較しつつ、本作の構成の緻密さを高く評価しています。
メディア化・派生作品
2003年3月には、みづき水脈さんの手によりコミック化され、講談社から出版されています。
また、2004年12月25日には上戸彩さん主演で実写映画化されました。監督はテレビの深夜番組などを手掛けてきた片岡Kさん、脚本は超有名テレビドラマを多数担当されている大森美香さん、共演はかずよし役の神木隆之介さん(子役時代)のほか、中村七之助さん、菊川怜さんら豪華キャストが名を連ねています。
解説・あとがきについて
巻末の解説は小説家・文芸評論家の高橋源一郎さんが担当していて、綿矢りささんの文章について「直すところがない完璧な日本語」と絶賛しています。かなり熱量のある解説となっていて、綿矢りささんのすごさや才能について力説しており、読み応えがありました。
高橋源一郎さんは1951年生まれの日本の小説家・文芸評論家で、代表作には群像新人長編小説賞で優秀作となったデビュー作『さようなら、ギャングたち』のほか、三島由紀夫賞を受賞した『優雅で感傷的な日本野球』、伊藤整文学賞を受賞した『日本文学盛衰史』などがあります。

手に取りやすさ
入手性
単行本・文庫版ともに版を重ねてきた作品で、電子書籍版も購入可能です。2003年に刊行された漫画版(講談社)についても電子書籍での販売がありました。
中古市場でも流通量は多く、ブックオフや古本市場などでもよく見かけます。100円~200円程度で売られていることが多い印象です。表紙違いは見たことがありませんが、時期によってはダブルカバー(全オビ)仕様などがあるかもしれません。(映画化が決定した時などによくある広告用カバー)
読みやすさの目安
文庫版は全192ページで、書き下ろし短篇「You can keep it.」も併録されています。会話が多く、1ページあたりの文字数も少なめの組版なので読み進めやすい一冊です。
物語の舞台は1990年代~2000年前後のパソコンやインターネット、チャット文化が背景にあるため、当時の空気感をある程度イメージできる世代であれば、より作品世界に入り込みやすいかもしれません。
出会いと物語
なぜこの本を手に取ったか
ブックオフの100円コーナーをチェックしていたときに「綿矢りさ」という名前が目に入り、高校生での作家デビューや芥川賞の受賞など話題の多い有名な作家さんですが、まだ一冊も読んだことが無かったので購入しました。
あらすじ
受験勉強や学校生活に疲れ、登校拒否になってしまった女子高生・朝子。ふと思い立ち部屋の荷物を処分する中で、亡くなった祖父からもらったコンピューターも手放すことにしますが、それを拾った小学生・かずよしとの出会いをきっかけに、二人はある「仕事」を始めることになります。

読んでみて
文章がきれいで読みやすく、息継ぎ(読点・句読点)の間隔も自分にちょうどよかったのでサクサク読めました。作中に出てくる風俗チャットは綿矢さんの創作だそうですが、90年代~00年ぐらいの大きくて重いデスクトップPCや、全てのページがなんとなく怪しげに見える「当時のインターネットの空気感」をギリギリ体感している世代なので、本作の設定についても楽しめました。
文字数が少ないので小中学生の読書感想文などにおすすめできるかと一瞬思いましたが、今の世代にはなかなか伝わりにくい設定ですし、内容も風俗チャットなのでちょっと微妙なラインでしょうか。
まとめ
こんな人におすすめ
- 芥川賞作家・綿矢りささんの原点となったデビュー作を読んでみたい人
- 1990年代~2000年代初頭のパソコンやチャット文化に懐かしさを感じる世代の方
- 短時間でさらっと読める作品を探している人
- 映画『インストール』を先に観て、原作が気になっている人
今回は綿矢りささんのデビュー作『インストール』を取り上げました。
これをきっかけに『蹴りたい背中』や『勝手にふるえてろ』なども読んだので、今後紹介したいと思っています。
この記事が皆さんの本選びの参考になれば幸いです。


