今回は原田マハさんの『小説 星守る犬〈新装版〉』について、基本情報や刊行の経緯、メディア化の情報、そしてこの本との出会いや実際に読んでみての感想などをまとめました。
なぜ表紙がルソーの『婚礼』なのかについても、調べてみると原田マハさんらしい理由がありましたのでご紹介します。
この記事で分かること
- 『小説 星守る犬〈新装版〉』の基本情報
- コミックから小説になったという珍しい成り立ち
- 原作コミックの受賞歴や映画化などのメディア展開
- 読みやすさの目安
- 実際に読んでみての感想
この本について
基本情報
| 書名 | 小説 星守る犬〈新装版〉 |
| 著者 | 原田マハ(原作:村上たかし) |
| 出版社 | 双葉社(双葉文庫) |
| 刊行の経緯 | 単行本 2011年6月刊 → 文庫版 2014年6月刊 → 文庫新装版 2022年3月刊(今回ご紹介するのはこちら) |
| 定価 | 600円+税 |
| 判型・ページ数 | 文庫判・160ページ |
| 購入店舗 | ブックオフ |
| 購入価格 | 110円(税込) |
| 状態 | 傷や汚れ、日焼けなどなく、中身も綺麗 |
| 版 | 新装版・第一刷(2022年3月13日) |
この作品の成り立ちはちょっと変わっていて、原作は村上たかしさんが2009年に双葉社から刊行した同名コミック(漫画アクション連載)で、それを原田マハさんが小説として書き下ろしたものが本作『小説 星守る犬』です。小説が漫画化されるパターンはよくありますが、その逆の「漫画→小説」という流れは珍しいですよね。
双葉社の公式サイトによると、原田マハさんは原作コミックを発売直後に読んで感動し、本を胸に抱きしめて泣いたことがきっかけで、担当編集者に自ら小説化を打診したそうです。村上さんの快諾を経て2011年6月に単行本として刊行され、2014年6月に文庫化されました。(小説化の経緯については本書のあとがきでも触れられています)
そして2022年、原作コミックの『完全版・星守る犬』の刊行に合わせて文庫の新装版も刊行されていて、今回私が入手したものはこの新装版の第一刷です。

受賞・評価
原作コミックは、平成20年度第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品に選ばれているほか、雑誌『ダ・ヴィンチ』の「ブック・オブ・ザ・イヤー2009」では「泣ける本ランキング」「読者が選ぶプラチナ本」の2部門で1位を獲得しています。また『このマンガがすごい!2010』オトコ編4位、『THE BEST MANGA 2010』5位にも選出されました。
2013年には英訳版『Stargazing Dog』が、米国図書館協会(YALSA)選出の「12歳から18歳向けの優秀なグラフィック・ノベル2013」ベスト10入りも果たしています。
双葉社の発表によれば、漫画・小説を合わせたシリーズ累計は100万部を超えているとのことです。
メディア化・派生作品
原作は2011年6月に公開された映画『星守る犬』で実写化されています。監督は瀧本智行さん、主演は西田敏行さんで、玉山鉄二さんや川島海荷さんら豪華キャストが出演しており、公開から2日間の興行収入は約1億4,408万円で「動員ランキング初登場6位」を記録しています。
コミックは単行本全2巻(『星守る犬』『続・星守る犬』)で完結しており、2022年には両作をまとめた『完全版・星守る犬』が刊行されています。
解説・あとがきについて
本書にはいわゆる第三者の解説はなく、原作コミックとの出会いや小説化に至った経緯について、原田マハさんの言葉で「あとがき」として綴られています。

読みやすさ
文庫で160ページというコンパクトな作品で、1ページあたりの文字数も少なめです。会話形式が多めでテンポよく進んでいくため、読書に慣れていない方にも読み進めやすい一冊です。読み慣れている方であれば1〜2時間程度で読めると思います。
短いながらも読みごたえがあり、テーマがはっきりしているため、小中学生の読書感想文の題材としてもおすすめです。
なぜこの本を手に取ったか
ブックオフの棚で原田マハさんの名前が目に入り、裏表紙の「大ヒットコミックの小説化」という珍しい経緯が気になって購入しました。原田マハさんの作品はこれまでに何冊か読んだことがあり、古本屋ではよく名前を探していましたので、まだ読んだことがない本を発見できて嬉しかったです。

新装版の表紙にはアンリ・ルソーの『婚礼』という有名な絵画が使われていますが、これは原田マハさん自身が「ルソーの生真面目さと、泣き笑いを誘う雰囲気が、おとうさんとハッピーの姿に重なる」という趣旨の提案をしたことによるものだそうです。
キュレーターとしての経験を活かし、名画や芸術家をテーマにした「アート小説」を数多く手掛ける原田マハさんらしい装丁ですよね。
読んでみて
犬と人間の絆を描いた作品は数多くありますが、既に両者が亡くなっているところから物語がスタートし、どうしてこのような状況に至ったのかが徐々に判明していく構成に引き込まれました。結末がわかっているので思い出の一つひとつがより大切に感じられ、後半はずっと切なくて苦しかったです。
私は原作コミックや映画の情報などを見ずに小説から入りましたが、原田マハさんの読みやすくて綺麗な文章でこの物語を知ることができて本当に良かったと思っています。
まとめ
こんな人におすすめ
- 犬と人との絆を描いた物語が好きな人
- 短時間でしっかり読める小説を探している人
- 漫画『星守る犬』や映画版を先に知っていて、小説版も気になっている人
- 「漫画→小説」という珍しい成り立ちの作品に興味がある人
- 読書感想文の題材を探している学生の方
今回は原田マハさんの『小説 星守る犬〈新装版〉』を取り上げました。
この記事が皆さんの本選びの参考になれば幸いです。


